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夜勤業務の一つに、新聞受けの確認がある。
大手新聞とともに配達されている『千葉日報』。
それを手に取ったオレは・・・
固まったまま、しばし見つめていたオレは・・・
最後の『報』の部分を・・・
「報!」
いや、むしろ、
「報っっっ!」
と、一際甲高い声で叫びながら・・・
オレは疲れているに違いない。
病んでいるに違いないのだ。
「背丈70cmほどで、細身の男の子が迷子になっております」
「お心当たりのある方は」
「ショッピングセンターの外、駐車場まで足をお運び下さいませ」
「いや」
「早く取りに戻って来いよ、この野郎」
ショッピングセンター駐車場には、
今日もポツリと使用済みのカートが放置されている。
自分で使ったものくらい、元の場所に片せないのか。
マナー違反が目に余る。
・・・と、決まってその時に思うことがある。
最近のRPGゲームには大抵表示されているもの。
プレイ時間。
そして、今回のソフトに費やされた時間。
およそ80時間。
80時間。
1日=24時間。
で、80時間。
今日はよく眠りました=8~9時間。
で、80時間。
10kmマラソン参加しました=走破タイム1時間。
で、80時間。
勉強する時の集中できる時間=もって数分。
で、80時間。
それが長いのか短いのか窺い知ることは出来ない。
だが・・・
実際、口に出してみると重みがある。
80時間。か・・・
桜の花びらが静かに舞っている。
町の公園や道路脇では、
出番を終えた踊り子たちの、
風に吹かれて休息をとっている姿を見ることが出来る。
駐車場にて車に乗り込んだオレは、
フロントガラスが装飾されていることに気付いた。
1cm大ほどの真っ白な水玉が点々としている。
どうやら、ここでも円舞が行われていたらしい。
あまりの美しさに自然と笑みも零れている。
実に素晴らしい。
しかし、車を走らせて数分。
オレは、ある異変に頭を傾げていた。
花弁が飛んでいかない。
飛ばないどころか、全く変化を生じていない。
路肩に停めて、改めてフロントガラスを覗き込む。
そして、オレはゆっくりと目を閉じ、
後ろに倒れ込んだ…
まさか、『かべん』ではなく、
違う『べん』だったとは…
溜息混じりにワイパーを左右させる。
頭の中の記憶と同様に、
その染みは中々消えていかなかった。
楽しみにしていたもの。
マグカップ。
・・・否。
マグカップ付きマンゴープリン。
・・・元い。
マンゴープリンinマグカップ。
どちらでもよい。
某コンビニで販売されていた
某癒し系キャラクター商品。
陳列棚を眺めていたオレは、
ある一つのマグカップに目を奪われた。
10cm×10cm×10cmはあるだろうか。
白を基調とした大きめのそれは、
事もあろうにゼリーなどの食品売り場に置かれていた。
中にはマンゴープリンが入っているという。
値段は400円弱。
少々、割高感はあったのだが、
何せこの容器にこの容量。
食欲という三大欲求の一つと
見つめるクマの瞳に完全にやられたオレは、
誘われるがままにレジで支払いを済ませていた。
風呂上がり。
冷蔵庫をおもむろに開けたオレは、
キンキンに冷やしたマグカップを手に取った。
既に口の中では流涎が溜まっている。
念願の対面。
もう待ちきれない。
開けたら突然、汁がこぼれてきたらどうしよう。
こんな時でも心配症は顔を出してくる。
そして、ゆっくりと縁に付いているテープを剥がしていった。
これを取れば、あとは蓋を剥がすだけでよい。
にやけているのが自分でも分かる。
実に気持ちが悪い。
しかし、その怪しい笑顔が凍りつくには、さほど時間はかからなかった。
マグカップの中には、
その辺で売ってるような大きさのマンゴープリンが
容器ごとすっぽりと収められていた。
容量で言ったら、マグカップの半分量にも満たないであろう。
もっと冷静になるべきであった。
自らの浅はかな思考に悔しさが募る。
踊らされていた自分に、腹が立ちさえする。
その後、ガックリと肩を落としたオレは、
力なく蓋を開け、
溜息を漏らしながら右手を動かしていった・・・
味・・・?
あぁ、いいんじゃないですか?