駐車場

家の近くに駐車場がある。

月5000円。

徒歩で数分。

公園、空き地を横切って、
何とか距離を感じなくはなってきたが、
雨が降れば、上から下までビショリと濡れてしまうだろうその遠さ。

きちんと整備された土地とは決して呼べず、
周りにある他の駐車場と比べても
やっつけ感は否めない。

管理人が時折草刈りなどに来ているようだが、
言ってしまえば、ただの空き地に過ぎない。
契約時からオレの願いはただ一つ。

「いい場所があったら、すぐに連絡を」





変化が訪れたのは、春を迎えてからだった。

一輪。
また一輪と、小さな花が咲いていく。

5月。
気が付けば、





駐車場は花でいっぱいになっていた。
数種類の色鮮やかな花たちが、
数十本と咲き乱れる。

周囲の駐車場はきちんと整備されている。
無論、雑草などもしっかり抜かれている。

ここだけだ。
ここだけ。

手入れの行き届かない管理に、
こんなにも嬉しくなるとは思わなかった。
今となっては、この駐車場で本当によかった。

と、





少し思うようになった。

駐車場？
そりゃ、家の前にあるのが一番だ。

交差する社会

それぞれの想いが交差するこの社会は、
気付けば、今日も互いの意思を
絡ませながら成り立っている。

自分が進んできた道を辿ってみれば、
知らない誰かとの触れ合いを通じて
ここまで来たことを実感する。

一人は通信関係。

一人は清掃業者。

一人はホビー関連。

とある街の一部分を切り取っただけでも、
そのバラエティは富んでいる。
彼らに互いの面識はないだろう。



この街に新たな住人がやってきた。
彼の職業は、どうやらカメラマンらしい。

さて、 何を外してみようか。
蛸足社会のこの街では、
今日も黒く長いコードが、
互いに絡みあっている。

そして、
その先で充電を終えた戦士たちは、
再び、各々の活動場所へ帰っていくのだった。



蛸足は大変危険です。
電力会社の人に怒られてしまいそうだ。

平日の朝から

平日の朝からこの賑わい。
その顔ぶれは老若男女を問わない。

ここにいる者たちは、
このあと恥ずかしい写真を撮られ、
それを買い取らなければならなかった。

しかし、誰も帰ろうとはしない。
言われるがまま、素直にブース内へと吸い込まれる。



カシャッ。



カシャッ。



…一人、また一人とカメラマンの餌食となっていった。










面倒臭い。

実に面倒臭い。

せっかくの休日。
免許更新のため、朝から免許センターに出向く。
平日にもかかわらず
センター内は人でいっぱいである。



まぁ、



特に面倒臭いのは、
これが、違反者講習だという１点に尽きるのであるが…

これから２時間。

みっちりとお勉強だ。

ふわりふわりと

まるで、たんぽぽの綿毛のように、

ふわりふわりと大空を舞っているようで。



まるで、作りたてのメレンゲのように、

ふわりふわりと美味しさをアピールしているようで。



ふわり。



ふわり。



ふわりふわり。



ふわり。










このあと6時からの会議。
夜勤明けのオレは昼前辺りから就寝する。

覚醒後、1時間弱・・・
頭の中は、いまだどこかに飛んで行ってしまっているようだ。

ふわりふわりと。

彼は一人、空中を散歩している。

６日朝にかけて

23:00八千代。

00:00蘇我。

01:00長生。

02:00八街。

食事・買い物。

03:30佐倉。

04:00千葉。

04:30浦安。

05:00稲毛。

05:30八千代。





電車トリックのサスペンスドラマよろしく、
千葉県内を絶妙なラップで廻る
一台の車がいた。

大型連休最終日。
特別何もしてこなかったオレは、
やっと『らしい』ことをしてみる。



が…



何故、こんな無茶な感じになってしまったのか。

この謎は、
青ジャケット年齢詐称眼鏡少年にも、
祖父の名前を賭け事に使用する高校生にも、
なかなか解けないに違いない。



自分でもよく分からないのだから。