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本日オープンの
近所のパン屋に出向こう。
新聞を取っていないため
開店時間は分からない。
成行きに任せ
自然と目が覚めたオレは、
枕元の2本の針を確認する。
朝の9時。
上々の体内時計。
おそらくは開店間もない頃合いだろう。
オレの経験が、そう確信させる。
歩いて20分余。
目的地に辿り着く。
そこには、焼きたてのパンの匂いと
長蛇の列。
長蛇の列・・・
長蛇の列が・・・
ない。
2人の私服客と、
大勢の関係者らしき黒服たち。
まさかの開店前。
そして、閑散とした空気。
警備員もどこか手持ち無沙汰で、
暇そうにしている。
オレは、しばらくそこに立っていたが、
寒さが徐々に全身を蝕んでいくにつれて、
【根気】の二文字に別れを告げる。
この空気には耐えられそうもない。
時刻は9時40分。
変わらない客足。
オレは一度踵を返すと、
近くのコンビニに足を運んだ。
大丈夫。
おそらく大丈夫。
とりあえず、10時を目指して戻ろう。
雑誌を読んで、コーヒーを飲んで、
それからでも何とかなりそうだ。
オレの経験が、改めてそう確信させている。
20分後、
再びパン屋に向かう。
気楽な足取りはパンのように軽い。
どうせ、列もそこそこの状態のはずだ。
・・・長蛇の列があった。
わずか、20分余の間に、
50人以上の客が並んでいる。
ヒーロー戦隊ものの悪役ばりに
今までどこかに潜んでいたというのか。
現実についていけないオレは、
3人組の主婦の後ろで、
がっくりとうなだれる。
たかが20分。
されど20分。
随分と待たされて購入したパンは、
心なしかほろ苦い味がした。
この手のミスは、
もう2度としないようにしたい。
そこが秘密の空間への
入り口だというのか、
彼はそこにいた。
公園の横。
電柱の陰。
ふと、疑問に思う時がある。
突然、視界に飛び込んでくる
一足の靴。
決して、二足揃っているわけではなく、
片方だけが落ちている
靴。
いつも、どこか不気味で、
これは何だろうと首を傾げてしまう
靴。
ひょっとしたら、
世界には透明人間になれる呪文があって、
その為には、衣類やら身体やら、
それぞれに呪文をかけなくてはならなくて、
耳なし芳一よろしく、
うっかり片方の靴にだけ
呪文をかけ忘れてしまった人が、
そこで眠っているのかもしれない。
そう思うと、
迂闊に近づくことすら出来ない。
今日も素通りを決め込む。
とりあえず、
今日の天気は晴れのようだ。
1、2、3、4・・・
5。
1、2、3、4・・・
5。
強烈な寒波を迎えた一室で、
オレは何度も数を数えてみる。
そして、一人にやりと含んでいることに気付く。
毛布。
掛布団。
羽毛掛布団。
タオルケット。
タオルケット。
五層に重なる防寒具の下で、
若干、身動きの取れなくなっているオレは、
温もりを一身に浴びご満悦だ。
この重みがたまらない。
1、2、3、4、5・・・6。
さらに、はんてんを追加する。
これで、寒さ対策は万全だろう。
氷点下なんて怖くない。
氷点下なんてくそくらえである。
3時間後。
汗をびっしょりかいて
着替えを済ませているオレに、
笑顔という二文字は存在しなかった。
むしろ、必要なのが暑さ対策だったとは
夢にも思わない。
およそ2ヶ月ぶりの連休が顔を覗かせている。
何をして過ごそうか。
決まっていないだけに、
どうしても心は躍ってしまう。
何かを食べに行く贅沢さ。
ずっと寝て過ごす贅沢さ。
時間はたっぷりあるため、
とにかく有意義に生活しておきたい。
考えているこの時間が一番楽しい。
ということにならないように、
それは、気をつけねばならないだろう。
そして、まずは今晩の夜勤を
無事に終えることに力を入れる。
気持ちが昂ぶって睡眠不足でした・・・
ということにならないように、
再び眠ることにしよう。
アパートの下の階の住人が、
突然、消えてしまった話。
なぜ、いなくなってしまったのか。
どうすれば、確認ができるのか。
考えてみよう。
の続き。
言わば後編。
正直、どうでもよくなってしまった。
夜中に喧嘩していたり、
ドアの開け閉めがうるさかったり、
居なくなったら嬉しい。
そのくらいである。
おそらく、挨拶もなしに引っ越したのだろう。
今日も気配はしない。