そう思った

例えば５ｍ。
例えば５秒。

普通に考えれば、
わずかな距離であり、
わずかな時間のように思える。

ただ、
その安心している『わずか』が
致命的な差を生み出す。

そんな可能性だってあることを
もう一度認識して、
日々を過ごしていきたい。

そう思った。

大きなかぶ

何か一つの困難を
共にやり遂げることが出来た時、

その達成感からか、
当事者たちの距離は、
少しばかり近付く気がする。

『大きなかぶ効果』





手慣れた手つきで
かけられた麻酔に、
親不知周辺の感覚は、
徐々に薄れていく。

それではとばかりに
姿勢を整える歯科医。

それではとばかりに
力の入る患者。
力の入る歯科医。

ただ、

麻酔をかけられていても、
不思議と一つだけ分かったことがあった。





・・・おそらく、
オレの屈強な歯は、
ピクリとも動いていない。





伝わる焦りと、
伝える謝罪。

オレは下手な腹話術とパントマイムで、
大丈夫だという意思表示を繰り返す。

もし、麻酔が効いてなかったら・・・
とは考えたくもない。



ゆっくりとリクライニングが上がり、
引きこもりからやっと抜け出した
歯と対面を果たす。

歯根３本の
やたら丈夫な住人が一人。

歯茎の下に埋もれていた部分が
こんなにも長いのかと、
何故か感心してしまう。

抜歯前にレントゲンで
歯根の具合を確認してはいたが、
どうやら歯科医にも
想像以上だったらしい。

頑丈であることに
超したことはないだろう。



と、達成感からだろうか、
辺りに自然と笑みがこぼれた。

何だかすみません。
いやいや、こちらこそ。

うんとこしょ。
どっこいしょ。
まだまだ、かぶは抜けません。

『大きなかぶ効果』



激痛の数日間を考えると、
感謝の気持ちが止まらない。
ありがとう。
先生、本当にありがとう。

血も止まらないが、
文字通りの出血大サービスと
ここは銘打っておきたい。



さて、何のサービスか。
それは知ったことではない。

(no subject)

複数の烏の鳴き声は、
どうにも震災前を思い出してしまう。
それだけで気分は落ち込み、
不安定な状態に陥ってしまう。

もう、二度と起こらないでほしい。

走る

６月のスイカロードレースは、
いつの間にかに終わっていた。

１２月のリバーロードレースは、
まだ参加を決めかねている。

走ることへの情熱が
薄くなっていることは、
自分でも重々分かっている。

今、走っているものは、
虫歯の激痛ばかりである。

破損

破損したキャッシュカード。
いよいよ使用が厳しくなってきたので、
銀行支店へと足を運ぶ。

クールビズでない
案内係の説明によれば、
再発行には一週間ほどかかるとのこと。



カードがない状態。

必要な時に無一文では困るので、
笠地蔵ばりに列を崩さず並ぶ
機械たちの前に立つ。
金をおろしておかねばなるまい。

カードが使えない日々。
その間の生活費。
・・・よりも気持ち多めに。



普段は押さないだろう
額のボタンに手をかける。

そして、それを財布にしまう。

ここでもう一度。

・再発行には一週間。
・必要な時に無一文では困る。
・その間の生活費。





・普段は押さないだろう額の・・・





財布を開ける度に、
うっかり使ってしまいそうになる。

家電量販店が、
オレを呼んでいる。