ハグ

震えながらも、
優しくあの子にハグをする。

しばらくして、
おもむろにハグ。

そしてハグ。
いつの間にかハグ。

耐え切れずにハグ。
乱暴にハグ。
引き寄せてハグ。

ハグ。

ハグ。

ハグ。

ｈｕｇ。

剥ぐ。





どうやら寝相がいいらしい。
まるで、波打ち際のように、
寄せては返すを繰り返す。

夜中に何度、目が覚めたか分からない。

要望

相変わらずの舗装工事。
それによる渋滞。

必要なことなので、
やらないでほしいとは言わない。

時間ややり方に
疑問符のつくこともあるが、
やらないでほしいとは言わない。

とても大変な仕事だと思うので、
やらないでほしいとは言わない。

ただ、
どうせやるなら、

雨が降った際でも、
路面のラインがよく見える
塗装工事なんてものも、
大々的に行ってくれたら・・・

見づらくなっている道が
結構あるなと思うのは、
オレだけだろうか。

顔色

百戦練磨の男は、
コーナーを折れたその先で、
今日も悠然と構えているのだろう。

首を傾げながらも
真っ直ぐに見据えるその眼光は鋭く、
一度定めた照準からは、
決して視線を逸らさない。

時折、表情を変えるものの、
誰に対しても毅然として構える
その姿勢には頭も下がる。

そしてオレは、
そんな彼に、
今日も戦いを挑む。





敗北。

赤信号。





どのタイミングで向かっても、
ほとんどの確率で赤になっている
信号がある。

特別に青の時間が短いわけでもなく、
ましてや感応式でもない。
ただただ、オレとの相性が悪いようで、
悔しさばかりが残る。
何なのだろう。



そして、

今日もオレは、
運試しでもするかのように、
コーナーを折れて、
彼の顔色を窺っている。

雪解け

朝起きると、
道路に広がっていた雪の
大部分が消えていた。

カシュッ
カシュッ
カシュッ

道端の至る所から、
擦れる音が聞こえてくる。

雪を溶かすのは、
案外、人情なのかもしれない。
雪解けとともに、
謎も解けた気がする。

本日の一品

大手チェーンの飲食店にて、
野菜がたっぷり盛られた
ちゃんぽんを注文する。

この店では、
野菜がたっぷり盛られた
当メニューに限り、

生姜の味が
口に広がるドレッシングと、
柚子胡椒が
ピリッと効くドレッシングの
２本が付いてくる。

味覚の変化を楽しむために、
あくまでも『付属』のサービスであるが、
オレはこの生姜ドレッシングが
堪らなく好きだったりするわけで、

冬などは、
生姜の効果で体も温まるので、
途中から容赦なく
上から振りかけたりしている。

おそらく、
そのテーブルに、
仮にオレが３人いたとするなら、
もう１本、追加注文してしまうだろう。

とりあえず、おすすめ。

とりあえず、無駄におすすめしてみる。