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やる気はそれほど・・・
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子供の頃から空を見るのが好きだった。
大空を泳ぐ雲が好きだった。

代わり映えしない生活の中で、
退屈を紛らわそうと天を仰ぐ。
すると、空は数秒ごとにその表情を変えた。

自分もその中に
溶け込んでしまうのではないかという錯覚を覚える。

昨日と同じだと思っていた今日が、
全く違うものだと気付かされた。
そう気付かされたことすら
過去のことなのだと気付かされた。



一人の写真家に出会った。
彼女は空の写真を撮っていた。



もう、1年半ほど経つだろうか。
それは、ある日の夕方のニュース番組だった。
夜勤明けでウトウトしていたオレは、
つけっぱなしのテレビから漏れる音にそっと聞耳を寄せた。

「一年と余命宣告を受けた女性が、
 その期日を過ぎても生存しており・・・」

テレビの中の女性は笑っていた。



『命とは奇跡であり、本当に奇跡だと思ったら絶対に変わる。』



というようなことを言っていた。
気付けば身を起こしていた。
気付けば涙が伝っていた。



番組終了後、オレはすぐにブログに飛んだ。

ブログには、命と真剣に向き合う姿、
それに対する彼女の気持ち、
日頃の生活等が綴られている。

写真家である為、風景画像もアップされている。
オレの大好きな空の写真も多くあった。

日常に広がる何気ない街。
普段は見過ごしている景色も、
改めて立ち止まれば芸術になることを知った。

心が洗われる。





と、過去に自分で書いたブログ記事に目を通し、
あの時の感動をもう一度呼び起こしてみる。
今は、遠い遠い地で活動を続けている彼女に、
改めて敬意を表したい。

陰ながら、
そして今でも、写真家中山万里さんを応援している。

夏の個展が楽しみでしかたない。

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楽しみにしていたもの。





マグカップ。

・・・否。





マグカップ付きマンゴープリン。

・・・元い。





マンゴープリンinマグカップ。

どちらでもよい。





某コンビニで販売されていた
某癒し系キャラクター商品。
陳列棚を眺めていたオレは、
ある一つのマグカップに目を奪われた。

10cm×10cm×10cmはあるだろうか。
白を基調とした大きめのそれは、
事もあろうにゼリーなどの食品売り場に置かれていた。
中にはマンゴープリンが入っているという。
値段は400円弱。

少々、割高感はあったのだが、
何せこの容器にこの容量。
食欲という三大欲求の一つと
見つめるクマの瞳に完全にやられたオレは、
誘われるがままにレジで支払いを済ませていた。



風呂上がり。
冷蔵庫をおもむろに開けたオレは、
キンキンに冷やしたマグカップを手に取った。
既に口の中では流涎が溜まっている。

念願の対面。
もう待ちきれない。
開けたら突然、汁がこぼれてきたらどうしよう。
こんな時でも心配症は顔を出してくる。

そして、ゆっくりと縁に付いているテープを剥がしていった。
これを取れば、あとは蓋を剥がすだけでよい。
にやけているのが自分でも分かる。
実に気持ちが悪い。

しかし、その怪しい笑顔が凍りつくには、さほど時間はかからなかった。



マグカップの中には、
その辺で売ってるような大きさのマンゴープリンが
容器ごとすっぽりと収められていた。
容量で言ったら、マグカップの半分量にも満たないであろう。

もっと冷静になるべきであった。
自らの浅はかな思考に悔しさが募る。
踊らされていた自分に、腹が立ちさえする。



その後、ガックリと肩を落としたオレは、

力なく蓋を開け、

溜息を漏らしながら右手を動かしていった・・・










味・・・?

あぁ、いいんじゃないですか?

目の前に咲き誇る春の象徴は、
これでもかと言わんばかりに、
両手を広げているようにみえた。

白、ピンク、
早いところでは、
黄緑色の新芽も覗かせている。

その下で、感嘆の声を漏らし見上げる姿は、
まるで、それが1セットであるかのように
周囲からは映し出されているのだろう。
それほどまでに見事な光景。
満開の春。



何かの拍子に、ふと目線を下ろす。

何十年と歴史を積み重ねたであろう太い幹。
そこに、風に吹かれる見慣れないものを確認した。





桜だ。





大きな桜の一番根元の部分。
枝分かれした、小さな小さな桜が咲いている。
空いっぱいに広がる壮大なイメージとは離れ、
その容姿は、何とも愛おしい。

今まで気づいていなかった美しい宝物に、
オレはにやりと表情を崩す。
桜の楽しみ方がまた一つ増えたことに、
大きな喜びを感じていた。

そのわずか数秒の間に、
どれだけの思いが込められていたのだろう。

その瞬間的な出来事に、
どれだけの出逢いが詰まっていたのだろう。



それは、本当に一瞬のことだった。

油断していたといえば、それまでなのかもしれない。
ただ、まさかここまで大事になろうとは、
オレの中ではまったく予期することが出来ていなかった。

あの時触れた右腕は、当然故意だったわけでもなく、
直後に倒れたと気付いた時には、
謝罪よりも驚きが先行していたことを今となっては思い出す。

ドンという鈍い音。

横倒しになっている状態を目の当たりにして、
ワンテンポ遅れて手を差し伸べた辺りが、その証明となるのかもしれない。
「まったく・・・」
そんな声さえ漏らしそうなオレは、
事の重大さに気付いていないとんでもない愚か者だったのだ。



何事もなく右手に力を入れる。



何事もなく力を・・・















辺りに散らばる透明の液体は、
持ち前の発泡性をいかんなく発揮している。
甘い匂いが、立ちすくむオレを優しく、かつ挑発的に包み込んでいく。
何をしているんだ畜生・・・



気の抜けたオレは、
気の抜けた炭酸水を飲みながら、
雑巾片手にフローリングの拭き掃除を始めていた。

季節外れの新入社員と対面する。

華奢だが柔軟性のある体つき。
誰もが羨むような小顔。
少し硬めのショートヘアーは綺麗に白く染まっている。

軽く会釈をすると、彼は隅々を掃除し始めた。
あっという間に辺りは泡で支配されていく。
水浸しになりながらも動き続ける彼に、
オレは込み上げてくる何かを感じていた。



これ以上は流血の可能性も否定できない。
オレは仕方なくストップをかける。
そして、もう一度口の中をすすぐと、

彼をコップに放り込んだ。





中毒性。爽快感。

どれをとっても、この業界での新人の活躍ぶりには目を見張るものがある。



しばらくは、この快感から離れられそうにない。
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