子供の頃から空を見るのが好きだった。
大空を泳ぐ雲が好きだった。
代わり映えしない生活の中で、
退屈を紛らわそうと天を仰ぐ。
すると、空は数秒ごとにその表情を変えた。
自分もその中に
溶け込んでしまうのではないかという錯覚を覚える。
昨日と同じだと思っていた今日が、
全く違うものだと気付かされた。
そう気付かされたことすら
過去のことなのだと気付かされた。
一人の写真家に出会った。
彼女は空の写真を撮っていた。
もう、1年半ほど経つだろうか。
それは、ある日の夕方のニュース番組だった。
夜勤明けでウトウトしていたオレは、
つけっぱなしのテレビから漏れる音にそっと聞耳を寄せた。
「一年と余命宣告を受けた女性が、
その期日を過ぎても生存しており・・・」
テレビの中の女性は笑っていた。
『命とは奇跡であり、本当に奇跡だと思ったら絶対に変わる。』
というようなことを言っていた。
気付けば身を起こしていた。
気付けば涙が伝っていた。
番組終了後、オレはすぐにブログに飛んだ。
ブログには、命と真剣に向き合う姿、
それに対する彼女の気持ち、
日頃の生活等が綴られている。
写真家である為、風景画像もアップされている。
オレの大好きな空の写真も多くあった。
日常に広がる何気ない街。
普段は見過ごしている景色も、
改めて立ち止まれば芸術になることを知った。
心が洗われる。
と、過去に自分で書いたブログ記事に目を通し、
あの時の感動をもう一度呼び起こしてみる。
今は、遠い遠い地で活動を続けている彼女に、
改めて敬意を表したい。
陰ながら、
そして今でも、写真家中山万里さんを応援している。
夏の個展が楽しみでしかたない。
PR