背中

「丸くなったな・・・」

その背中を見て、
オレはポツリと呟いた。

昔はもっと尖った男だった。
重量感があり、存在感があった。
オレとそりが合わず、いなくなることもあった。
水に流してきたこともいっぱいあった。

それが今はどうだろう。

小さくなったその姿は、
もはや、居場所すら失いつつある。



栄光をもう一度。



オレはおもむろに手に取ると、
もう一つ同じサイズのものと重ねて
手拭いに擦りつけた。

そして、泡立ちを確認し、
ゆっくりと体を洗う。



「まずまずだな・・・」

背中を洗いながら、
オレはポツリと呟いた。