テスト

携帯から無事に送れるか。
テスト。

起床後すぐに行われた
『携帯にカウンターを上手に設置出来るかな!?』テストは、

見事に赤点だった。

自分の出来の悪さに呆れてしまう。

テストテスト。

テストテスト。

青かった日々

男との再会は十数年ぶりだった。
オレがまだ、少年という肩書きで人生を楽しんでいた頃のことだった。



久しぶりの対面にも、彼は顔を真っ青にしている。
そういえば、以前もそれが原因で距離を置いてしまったな・・・
オレの中の記憶が語りかけた。

こいつの顔は、何故こんなにも青いのだろう？
大方の人は、彼に会うとまずそう思うだろう。
出会った時こそ何も感じなかったが、
オレもその一人となってしまった。

悪いものでも食べているのではなかろうか。
その影響が表情に出てしまっているのではないのか。
一度考えてしまうと、底なしのスパイラルに巻き込まれてしまう。
もう逃げることは出来ない。

そして、『疎遠』という二文字が二人の仲を支配していった。

久しぶりの再会。
久しぶりの面通し。
今、オレの目の前には懐かしい顔がある。
相も変わらず真っ青な表情をこちらに浮かべ、
今か今かとオレを待ち受けているように見える。

そんな彼に、オレは口から出迎えた。

とりあえず、一口頬張ってみることにした。

味は・・・どうだろう。よく分からない。
ただ一つ、何故あの頃のオレは、あんなにもこいつを注文したのだろう。
そればかりが頭の中を支配していった。





かき氷『ブルーハワイ』。
何が、こんなにも彼を青くさせるのだろう。

シャキーン！

NHK教育『シャキーン！』

やられた。

実に面白い。

たまに見るなら教育テレビ。



たまに観るなら教育テレビ。

跳べ

目の前の椅子をぴょんと飛び越え、
その先に見える部屋へと駆け込む。
オレの中の明確なヴィジョンは、
数歩先の世界を捉えて放さない。



別に椅子を飛び越える必要性はなかった。
むしろ、夜勤中の体力は少しでも残しておきたいのが現状だ。
はたから見れば、確実に無駄な行為に見えるだろう。

だが、オレは飛ばねばならなかった。
気持ちの高ぶりがおさまらない。
飛び越えることによって
テンションがワンランク上昇するのではないか。
そんな自己満足のため飛ばねばならなかったのだ。



椅子は木製で高さは３０～４０cmといったところか。
背もたれがついており、それを含めれば高さは倍になる。
しかし、今回飛び越えるのは座面の部分だ。
さすがに背もたれまでは飛び越えようとは思わない。
片足をハードル走選手のように「くの字」に曲げれば、
いとも簡単にまたげてしまう。

ただ、



颯爽と走り去る姿に酔いしれることが出来れば、
この場は満点だった。





目の前に椅子が迫る。
スピードと気持ちが全身に乗ったオレは、
ここぞとばかりに飛び越える。



・・・と、同時に右膝に激しく鈍い痛みが走った。



まさかの失敗。

まさかの木製の椅子に膝蹴り。



オレの頭にある事実がよぎる。










三十路まで１ヶ月を切ったんだなぁ・・・と。



もう、以前のようには・・・いかない。

幻の右

手荒れ防止のために、クリームを塗る。
さらには、保湿機能向上のために手袋をはめて眠る。

手荒れの具合は、利き腕となる右手の程度が悪く、
この日は右手にだけ手袋をはめていた。

そう、確かに右手だけだった。



数時間後、既に太陽が見上げる高さにまで昇っている頃、
オレはあくびをしながらも、やっと深い眠りから解放された。
まだ、自分の身に何が起こったかに気づいてはいない。

ただ・・・

何かが違う。
異変に気づいたオレは、交互に両手を見比べていた。
そして、右手にはめていたはずの手袋が、左手に移っていることに気付いた。

確かに、右手にはめて眠った。
右手にはめていた。
眠っている間に何が起きたというのか。

オレは考えた。

何故、左手に移っているのか。
無意識だったのか。
それとも、何か別の力が働いたのか。

オレは考えた。

寝起きの頭で。
一生懸命考えた。

その結果・・・










どうでもよくなった。

とりあえず、今日も右手だけ手袋をはめて眠ろう。
話はそれからだ。