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やる気はそれほど・・・
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夜勤を終えたオレは、
同僚と更衣室にいた。

着替えを済ませた彼は、
軽く挨拶を交わすと、
一足先に駐車場へと向かう。
オレも後を追う。

職員玄関を出て角を曲がる。
少し歩くと駐車場に着くわけだが、
ふと、視線の先で動く影を見つけた。
道路に出て、何か考え事をしているようだ。

同僚だった。

数分前に出た彼が何故ここに?
オレは不思議に思いながらも声をかける。

背中が大きくなるに連れて、
その全体像は、次第に明確になってくる。
そして、何が起こっていたのか理解した時、
オレの足は動きを止めた。

猫が倒れていた。



職場前の道路は、
交通量が少ないというわけではない。
抜け道で使われることもあるのだろう。
特に朝などは、先の信号から詰まることもある。

時刻は10時を回った頃だったろうか。
その光景を見て、オレは言葉を失う。

彼は後ろを振り向くと、
何とも言えない表情をこちらに向けていた。
非常に悲しい目。
やりきれない思いが、
オレの心にも届いてくる。

動物病院に勤めていた・・・
以前、彼が話していたのを思い出す。



しばらく考えたのち、
彼は、職員玄関傍にある
ごみ置き場へと走り出した。
頃合いの段ボールを
一つまみ持って帰ってくる。

オレはその場に立ち、
眺めていることしか出来ない。

彼は猫をすくい上げると、
沈痛な面持ちで歩き始め、
そして、
とあるスペースを、
スコップで掘り始めた。

「ここでもいいかな」

彼の問いかけに、
オレはゆっくりと頷いた。



二人で手を合わせると、
それぞれ、帰宅の途についた。

普段とは違った彼の一面が、
オレの記憶に今でも残っている。










一株の紫陽花が今日も咲いている。

奇しくもそこは、
二人だけが出会った、
名も知らぬ猫が眠っている場所である。

おそらく、
誰かがどこかから、
何かの理由で移したのだろうが、
その紫陽花を見ると、
あの時のことを思い出さずにはいられない。

一際輝く紫陽花に、
オレはゆっくりと手を合わせる。
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