濁さず

向かいの家の住人が、
どうやら引越しをするらしい。

二件で一棟の片方。
少しばかりの庭もあるようで、
連日のように家財道具を出したり、
植えてある樹木を掘り起こしたりしている。

たつ鳥あとを濁さず。
なかなか忙しなく動いている。

当初と比べ、
周辺はかなり片付き、
いよいよ、強風時に季節を問わず
鳴り響いていた風鈴ともおさらばだと思うと、
思わず、口元が緩んでしまう。

実に寂しいものである。



職場に行く際、
ゴミ捨て場の前を通ってから駐車場へ向かう。

すると、
どう考えても、引越しの片付けで出ただろう大量のゴミが、
ネットの下で溢れんばかりに詰まっている。

パッと見、何のゴミかも分からなければ、
既に他の人が捨てるスペースもない。
それ以前に、次回のゴミ出し日は、
連休後の３日先となっているはずだ。

これには開いた口も塞がらない。
見渡せば、近くのもう一か所のゴミ捨て場も
同様の被害を被っている。

いくら自分のところを綺麗にしても
これでは・・・



たつ鳥あとを濁さず。

『たつ』と『あと』がどんな漢字だったか。
こちらは平仮名で濁らせておきたい。