やる気はそれほど・・・
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「連れてって」
クリスマスの夜に、
彼女はオレにそっと話しかける。
しかし、言葉とは裏腹に、
その手は、オレの洋服をぎゅっと掴んで
決して放そうとはしない。
街は変わらぬ輝きで、
聖なる夜をライトアップしていた。
さっきまで見ていた光景は、
今もまだ脳裏に焼き付いている。
車を降りて夜の公園へ。
時刻は深夜4時を回っていた。
町の小さな公園では、
さすがに人影もない。
公園を抜ければ、
色とりどりのランプたちが、
それぞれの庭先で
今年最後の自己主張を繰り返す。
すっかり見慣れた風物詩でさえ、
いざ、お別れとなると何とも物悲しかった。
ドアを開け、
蛍光灯に灯りを入れる。
単色の輝きは、今日も優しくオレを迎え入れる。
手洗いを済ませ一息つけば、
解放感がゆっくりと体を支配していく矛盾に辿り着く。
自宅に勝るものは、おそらくないのだろう。
コートを脱いでハンガーにかける。
ベルトを外しジーンズに手をかける。
そうして、やっと状態に気付く。
裾に何かがついている。
長く、
細く、
黒く、
棘のように硬い、
何かの植物の種が。
裾についている。
オレは彼女の手を取ると、
別れを惜しみながらも
空に優しく放り投げた。
無事に成長しますように。
新たな出会いを切に願いながら、
空に優しく放り投げた。
クリスマスの夜に、
彼女はオレにそっと話しかける。
しかし、言葉とは裏腹に、
その手は、オレの洋服をぎゅっと掴んで
決して放そうとはしない。
街は変わらぬ輝きで、
聖なる夜をライトアップしていた。
さっきまで見ていた光景は、
今もまだ脳裏に焼き付いている。
車を降りて夜の公園へ。
時刻は深夜4時を回っていた。
町の小さな公園では、
さすがに人影もない。
公園を抜ければ、
色とりどりのランプたちが、
それぞれの庭先で
今年最後の自己主張を繰り返す。
すっかり見慣れた風物詩でさえ、
いざ、お別れとなると何とも物悲しかった。
ドアを開け、
蛍光灯に灯りを入れる。
単色の輝きは、今日も優しくオレを迎え入れる。
手洗いを済ませ一息つけば、
解放感がゆっくりと体を支配していく矛盾に辿り着く。
自宅に勝るものは、おそらくないのだろう。
コートを脱いでハンガーにかける。
ベルトを外しジーンズに手をかける。
そうして、やっと状態に気付く。
裾に何かがついている。
長く、
細く、
黒く、
棘のように硬い、
何かの植物の種が。
裾についている。
オレは彼女の手を取ると、
別れを惜しみながらも
空に優しく放り投げた。
無事に成長しますように。
新たな出会いを切に願いながら、
空に優しく放り投げた。
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街に静寂が訪れる。
落ち葉の擦れる音すら聞こえてきそうな夜。
日曜の夜が好きで、
厳密には、月曜の夜が好きで、
明日から仕事だ学校だと
辺りから人や車の気配がフッと消えた時、
オレは思わず、
通りに耳を澄ます。
眠った街。
眠った世界。
気持ちが落ち着いていくのがわかる。
余分なものが流れていくのを実感する。
そして、また一週間。
新しい自分が始まる。
さて、
いい加減年賀状でも書くとするか。
落ち葉の擦れる音すら聞こえてきそうな夜。
日曜の夜が好きで、
厳密には、月曜の夜が好きで、
明日から仕事だ学校だと
辺りから人や車の気配がフッと消えた時、
オレは思わず、
通りに耳を澄ます。
眠った街。
眠った世界。
気持ちが落ち着いていくのがわかる。
余分なものが流れていくのを実感する。
そして、また一週間。
新しい自分が始まる。
さて、
いい加減年賀状でも書くとするか。
映画館に一人訪れる。
『海賊王になりたい少年の物語』
平日昼間の映画館は比較的空いていて、
チケットも容易に購入できた。
「今なら、両隣もいませんよ」
という受付の甘い誘惑にもつられて、
オレは、そのポジションを確保する。
中央やや後方。
上出来だ。
『海賊王になりたい少年の物語』
平日昼間の映画館は比較的空いていて、
チケットも容易に購入できた。
「今なら、両隣もいませんよ」
という受付の甘い誘惑にもつられて、
オレは、そのポジションを確保する。
中央やや後方。
上出来だ。
入場許可が下りると、
オレは余裕たっぷりで席を探す。
確かに客足は鈍い。
昼過ぎの上映なら、それも納得がいく。
折りたたみを解除し、
ゆっくりと腰を下ろす。
目線を上げ、足を組んでみる。
さながら王様気分を味わってみる。
うむ。
これなら2時間楽しめるだろう。
折りたたみを解除し、
ゆっくりと腰を下ろす。
目線を上げ、足を組んでみる。
さながら王様気分を味わってみる。
うむ。
これなら2時間楽しめるだろう。
上映時間が迫る。
次第に入場客が増えていく。
オレは音楽を聴きながら
その情景を眺めている。
そして、
気付けば、オレの両隣も埋まっていた。
これだけの好位置。
それは仕方ない。
ポップコーンを持った女子高生2人組と、
ポップコーンを持った男子高生2人組。
くさい。
うるさい。
いつの間にか、
肘掛けも占拠されている。
オレは、腕組みをしながら
映画に集中する。
何も言わず、
ただただ、映画に集中する
・・・しかなかった。
オレは王様にはなれそうもない。
そして、
気付けば、オレの両隣も埋まっていた。
これだけの好位置。
それは仕方ない。
ポップコーンを持った女子高生2人組と、
ポップコーンを持った男子高生2人組。
くさい。
うるさい。
いつの間にか、
肘掛けも占拠されている。
オレは、腕組みをしながら
映画に集中する。
何も言わず、
ただただ、映画に集中する
・・・しかなかった。
オレは王様にはなれそうもない。
あらゆるプロスポーツで、
契約更改が行われている。
コメンテーターが今日も
政策について言及している。
年末ジャンボも締め切りが近い。
その中で、耳にする単語。
『億』
「人」の「心」を上から支配する「音」。
そこには、感覚を麻痺させる響きがある。
年俸、3年数十億・・・
着いて行けない。
人の価値とは何で決まるのか・・・
3等数百万・・・
前者と比較すると、
大したことなく感じるから不思議だが、
とても手の届く額ではない。
手取りで20万弱・・・
急にやる気が無くなる・・・
『億』はオレの心をも軽く支配した。
契約更改が行われている。
コメンテーターが今日も
政策について言及している。
年末ジャンボも締め切りが近い。
その中で、耳にする単語。
『億』
「人」の「心」を上から支配する「音」。
そこには、感覚を麻痺させる響きがある。
年俸、3年数十億・・・
着いて行けない。
人の価値とは何で決まるのか・・・
3等数百万・・・
前者と比較すると、
大したことなく感じるから不思議だが、
とても手の届く額ではない。
手取りで20万弱・・・
急にやる気が無くなる・・・
『億』はオレの心をも軽く支配した。
うどんを作っていたはずなのに、
うどんを茹でていたはずなのに、
うどんが完成したはずなのに、
オレは今、すいとんを食べている。
一生懸命こねた小麦粉の塊は、
麺棒で薄く伸ばされ、
上から小麦粉をまぶされ、
何重かに折りたたまれ、
一定の間隔で切られた後、
すいとんになった。
恐るべし
すいとんの術。
恐るべし
すいとんの術。
味に変わりはないわけだが、
恐るべし
すいとんの術。
横長の小麦粉の塊に
うっすらと残る線が、
何とも物悲しい。
うどんを茹でていたはずなのに、
うどんが完成したはずなのに、
オレは今、すいとんを食べている。
一生懸命こねた小麦粉の塊は、
麺棒で薄く伸ばされ、
上から小麦粉をまぶされ、
何重かに折りたたまれ、
一定の間隔で切られた後、
すいとんになった。
恐るべし
すいとんの術。
恐るべし
すいとんの術。
味に変わりはないわけだが、
恐るべし
すいとんの術。
横長の小麦粉の塊に
うっすらと残る線が、
何とも物悲しい。