隠し味

「旦那？ちょっといいかい？
　いい？ありがとう。
　いやさ、このラーメンは美味いことやってるねー。
　てね。

　このスープは・・・Ｗスープかな。
　しかも、魚介も鰹節と鯖節の２種類。
　実にバランス取れてるよね。うん。

　ただね、ただなんだ。
　もう片方が分からないんだ。
　ま、だから話し掛けたんだけどね。

　これは何だろう？
　鶏・・・よりはこってりしてるし、
　豚・・・よりも甘味があるし・・・

　教えて・・・はくれないかな。
　まぁ、そこを何とか頼むよ！お願い！

　え、何？
　・・・はぁ～、スネ！親のスネ！
　あれは確かに美味しいよね。
　しゃぶればしゃぶるほど、
　旨味と甘味が溢れ出て来るもんね。

　なるほどなぁ。
　上手いことやったもんだなー。
　え？でも、もう使えないの？
　売り切れ？こんなに美味いのに？

　そうか・・・残念だなぁ。
　まぁ、仕方ないとこかなぁ。

　じゃ、最後にもう一杯だけどうかな。
　そこんとこ頼むよ。ね！ね！」





などと言ってた２年前。

親元を離れた生活。
相変わらず、苦労が多いものだ。

こわくび

秋田県強首温泉。

そこには、
今日も人であふれている
ホテルがあるという。

用意されているドレスは１０００着以上。
もちろん、すべてが試着可能。
そして、その姿を
写真に収めることが出来る。

農家で働くおばあさんが、
旦那さんに選んでもらったドレスを着て、
おめかしをして、
同じく身なりを整えた旦那さんと
二人で写真を撮る。

その一様に嬉しそうな顔は、
観てるこちらも思わず微笑んでしまう。

写真には、二人の愛情が
たくさん詰まっている気がした。
今日もたくさんの笑顔が、
あふれていることだろう。

金魚絵師

先日、何かの番組で紹介していた、

金魚の絵を立体的に描く、
金魚絵師の存在が忘れられない。

どら焼き

オレは夢中になってどら焼きを頬張る。
一個、また一個。

「僕の分はないのかい？」

青いタヌキ型ロボットが心配しそうである。

昨日、久しぶりに実家に帰ると、
待っていたのはどら焼きだった。
これを持って行きなさいと、
母親が持参したバッグに詰める。

優しさを実感しながら家に着いたオレは、
翌日の朝にでも食べようと、
どら焼きを台所に置いて就寝した。



そして、次の日の朝、
オレは夢中になってどら焼きを頬張った。

袋に記載されていた、
消費期限２日前。



・・・２日前。



まだ、腹痛はない。
 

マラソン

その異様な空気は、
気が付けば辺りをすっかり支配していた。

パラ、パラ・・・と始まったまばらな音も、
今では、会場全体を包み込む音に変わっている。

スタートに向け、
いよいよ賑やかになってきたようだ。



ピカッ！ピカピカッ！

これでもかと言う程に、
まばゆいばかりのフラッシュがたかれる。

それは、カウントダウンが
始まった合図でもあった。



ヨーイ・・・

緊張した面持ちを見せる。





ズドーーーーーン！！！

バリバリバリバリ！！！！！





・・・高らかに号砲が鳴り、

稲妻が勢いよく走って行った。